採用活動

企業が秋採用を実施するメリットとは?新卒採用を成功させるポイントを解説

多くの企業が新卒採用を春夏に集中させる中、戦略的に「秋採用」を実施することで、独自のメリットを享受できます。
秋採用は単なる欠員補充ではなく、多様な人材を獲得する機会となり得ます。
この記事では、秋採用の基本的な知識から、企業が取り組むべき理由、そして新卒採用を成功に導く具体的なコツまでを、採用担当者に向けて網羅的に解説します。

[参考] 産経新聞社×ワークス・ジャパン  ―「28卒学生が選ぶ就職人気企業ランキング」早期発表―

まずは基本から|新卒の秋採用とは?



新卒における秋採用とは、一般的に9月以降に開始される採用活動を指します。
その意味合いは、内定辞退者の補充や、当初の採用計画が未達の場合に追加で募集を行う活動が主です。
しかし近年では、留学帰りの学生や公務員志望だった学生など、春夏採用の時期に就職活動ができなかった優秀な人材を獲得するための戦略的な特徴も強まっています。

秋採用が実施される具体的な時期(9月〜11月が中心)

秋採用が開始される具体的な期間は、一般的に9月から11月頃までが中心です。
多くの企業で内定式が執り行われる10月1日以降も、採用活動を継続するケースは少なくありません。

内定辞退者の発生や、採用計画の見直しなどに応じて募集が開始されるため、「いつから」という明確な日付はありませんが、夏が終わりを迎える9月頃から求人が増え始める傾向にあります。

春・夏採用と比較してわかる秋採用の主な特徴

秋採用の大きな特徴は、春・夏採用に比べて採用活動を行う企業の数が減少し、学生の数も少なくなる点にあります。
この時期のメリットは、競合が少ない環境で自社の魅力を伝えやすく、留学帰りや公務員志望からの転換組といった、春・夏採用では出会えなかった層にアプローチできることです。
一方で、デメリットとして、母集団形成が難しく、採用スケジュールがタイトになりやすいという側面も持ち合わせています。

近年、秋採用に踏み切る企業が増えている背景

近年、秋採用に踏み切る企業が増えている背景には、複数の理由が考えられます。
一つは、内定辞退率の高まりを受け、計画通りの人員を確保する必要があるためです。
また、グローバル化の進展により留学経験者を積極的に採用したいというニーズや、企業の採用活動が多様化し、通年採用へ移行する流れも、なぜ秋採用が増加しているのかを説明する要因となっています。

企業が秋採用に取り組む3つの大きなメリット



採用市場が落ち着きを見せる秋に、あえて採用活動を行うことには、企業にとって見逃せないメリットが存在します。
単なる欠員補充という守りの視点だけでなく、採用戦略の幅を広げる攻めの機会として捉えることが可能です。
ここでは、企業が秋採用に取り組むことで得られる3つの大きなメリットを解説します。

メリット1:内定辞退や採用計画未達分を効果的に補充できる

秋採用を実施する最も直接的なメリットは、内定辞退によって生じた欠員や、採用計画の未達分を補充できる点です。
特に10月の内定式前後には、複数の内定を持つ学生が最終的な意思決定を行うため、辞退者が発生しやすくなります。
秋採用は、こうした不足した採用枠を埋め、次年度の事業計画に必要な人員を確保するための有効な手段となります。

メリット2:春夏採用では出会えなかった優秀な学生と接点が持てる

第二のメリットは、春夏の採用市場では活動していなかった、多様なバックグラウンドを持つ優秀な学生と出会える可能性です。
例えば、海外の大学を卒業した留学生や、交換留学から帰国した学生、研究や学業に専念していた理系の大学院生などがこの時期から本格的に就職活動を開始します。
こうした人材は、専門性やグローバルな視点を企業にもたらす貴重な存在です。
多様な人材採用のブランディング戦略については「「多様な人材を採用するブランディング・戦略のご紹介」で詳しく紹介しています。

メリット3:競合企業が少なく、自社の魅力をアピールしやすい

春夏の採用ピーク時に比べて、秋採用では活動している企業、特に大手企業の数が減少します。
これは、競合が少ない環境で採用活動を行えるという大きなメリットにつながります。
学生一人ひとりと向き合う時間を確保しやすく、企業の理念や事業内容、働きがいといった魅力を深く伝えられます。

結果として、学生の企業理解を促進し、入社意欲を高めることが可能です。

秋採用で出会えるポテンシャルの高い学生像



秋採用の市場には、春夏の就職活動の波に乗らなかった、あるいは乗れなかった多様なポテンシャルを持つ学生がいます。
留学経験者や公務員志望からの転換組、部活動に打ち込んだ学生や、納得いくまで就活を続ける意欲的な学生など、理系文系問わず様々な強みを持った人材との出会いが期待できます

留学経験や海外での活動を終えたグローバルな視点を持つ人材

夏以降に留学プログラムを終えて帰国する学生は、秋採用の主要なターゲット層の一つです。
彼らは語学力はもちろんのこと、異文化への適応力、主体性、困難な状況を乗り越える課題解決能力などを身につけています。
こうしたグローバルなビジネス環境で即戦力となり得る留学生にとって、秋採用は本格的な就職活動のスタートラインとなります。
海外大生の採用については「グローバル採用の新時代 ~コロナ禍での海外大生の実態に迫る」で詳しく紹介しています。

公務員試験から民間企業へ進路変更した粘り強い学生

公務員を第一志望として準備を進めてきた学生の中には、試験の結果を受けて民間企業への就職に切り替える層が一定数存在します。
彼らは、長期間にわたる試験勉強をやり遂げた真面目さや粘り強さ、高い基礎学力を持っています。
社会貢献意欲が高い人材も多く、企業の理念と合致すれば、非常に高いパフォーマンスを発揮する可能性があります。

部活動に打ち込み、高い目標達成意欲を持つ体育会系の学生

夏の全国大会やリーグ戦などを終え、引退を機に本格的な就活を開始する体育会系の学生も、秋採用市場の重要なターゲットです。
厳しい練習を通じて培われた精神力、目標達成への強い意欲、チームワークを重んじる姿勢などは、多くの企業で高く評価されます。
上下関係の中で礼儀作法が身についている点も、組織人としてのポテンシャルを感じさせます。

納得できる企業を求め、就職活動を継続している意欲的な学生

すでに内定を一つ以上保有しながらも、自身のキャリアプランや価値観と真摯に向き合い、より良い環境を求めて就活を継続している学生もいます。
彼らは明確な就職活動の軸を持ち、企業選びに対して非常に意欲的です。
安易に妥協しない姿勢は、入社後の高い定着率や貢献につながりやすく、企業にとってミスマッチの少ない採用が期待できます。

押さえておくべき秋採用の注意点と対策



秋採用には多くのメリットがある一方で、春・夏採用とは異なる難しさやデメリットも存在します。
成功のコツは、これらの注意点を事前に把握し、適切な対策を講じることです。

母集団形成の課題やスケジュールの制約などを理解し、戦略的に採用活動を進める必要があります。

注意点:春・夏に比べて応募者の母集団を形成しにくい

秋採用における最大のデメリットは、多くの学生が就職活動を終えているため、応募者の母集団形成が難しい点です。
春・夏と同じように大手就職サイトに求人を掲載するだけでは、十分な数の応募者を集めることが困難な場合があります。
採用ターゲットが活動している場所に、的を絞ってアプローチする工夫が求められます。

注意点:選考から内定、入社までのスケジュールが非常にタイトになる

もう一つのデメリットは、採用活動にかけられる期間が短いことです。
9月に採用を開始した場合、内定式の10月や翌年4月の入社まで時間がありません。
そのため、選考フローの設計、内定出し、入社までのフォローアップといった一連のプロセスを、非常にタイトなスケジュールで進める必要があります

対策:ターゲットを明確にした採用広報で効率的にアプローチする

母集団形成が難しいという課題への対策として、採用ターゲットを具体的に定めることが成功のコツです。
「留学経験者」「公務員試験からの転向組」など、どのような人材を獲得したいかを明確にし、その層に響くメッセージを発信します。
大学のキャリアセンターや、ターゲット層が多く利用する専門の求人媒体を活用することで、効率的なアプローチが可能になります。
27卒学生の採用活動の特徴については「大学のキャリアセンターに聞く~27卒学生の志向/活動の特徴と対応のポイント」で詳しく紹介しています。

対策:学生の熱意を維持する短期集中型の選考プロセスを設計する

タイトなスケジュールに対応するためのコツは、選考プロセスを短期集中型にすることです。
書類選考から最終面接までを短期間で完結させる選考フローを設計し、学生のモチベーションを維持します。
Web面接の導入や、面接回数の最適化など、スピード感を意識した対応は、他社への流出を防ぐ上でも極めて重要です。

新卒の秋採用を成功に導くための具体的な5つのポイント


新卒の秋採用は、春・夏採用とは異なる戦略が求められます。
企業側が工夫を凝らし、ターゲット学生に対して能動的にアプローチすることが成功のコツです。

ここでは、採用活動を成功に導くための具体的な5つのポイントを挙げ、企業が実践すべきアクションを解説します。

ポイント1:秋採用の対象学生に響く魅力的な求人情報を発信する

単に「追加募集」と告知するだけでは、学生の関心を引くことは困難です。
秋採用の対象となる学生層を意識し、「留学経験を活かせる」「第二新卒も歓迎」といった、彼らに響く具体的なメッセージを求人情報に盛り込みましょう。

なぜこの時期に募集するのか、どのような人材を求めているのかを明確に伝えることで、質の高いエントリーを促進できます。

ポイント2:ダイレクトリクルーティングで優秀層へ直接アプローチする

応募を待つだけでなく、企業側から積極的にアプローチする「攻めの採用」が秋採用では特に有効です。
マイナビなどの新卒向け就職情報サイトが提供するダイレクトリクルーティングサービスを活用し、企業の求める要件に合致する学生のデータベースから候補者を探し出し、直接スカウトメッセージを送ることで、効率的に優秀層と接点を持つことができます

ポイント3:選考プロセスを迅速化し、他社への流出や学生の離脱を防ぐ

秋採用に応募する学生は、他の企業も並行して受けているケースが多く、早期に内定を得たいと考えています。
そのため、選考フローは可能な限り簡潔にし、応募から面接、内定までの流れを迅速に進める必要があります。

選考結果の通知を速やかに行うなど、スピード感のある対応を徹底することで、学生の志望度を維持し、他社への流出を防ぎます

ポイント4:内定者への手厚いフォローで内定承諾率と入社意欲を高める

内定を出した後のフォローアップは、内定承諾率を左右する重要なプロセスです。
特に秋採用では入社までの期間が短いため、密なコミュニケーションが求められます。
先輩社員とのオンライン座談会や、定期的な連絡を通じて、入社前の不安を解消し、企業への帰属意識を高めることが、確実な入社につなげるコツです。
学生のリテンション対策については「“タイパ重視”の学生をグリップ!企業のリテンション対策」で詳しく紹介しています。

ポイント5:採用代行(RPO)を活用して採用活動の質とスピードを両立させる

限られた時間とリソースの中で秋採用を成功させるためのコツとして、採用代行(RPO)サービスの活用も有効な選択肢です。
採用のプロフェッショナルに一部または全部の業務を委託することで、社内担当者の負担を軽減しつつ、採用活動の質とスピードを両立できます
特に、スカウト送信や面接日程の調整といった業務を任せることで、担当者は候補者とのコミュニケーションに集中できます。

秋採用に関する企業のよくある質問


ここでは、秋採用を検討している企業の採用担当者から寄せられる、よくある質問とその回答を紹介します。
多くの企業が抱える疑問点を解消し、より効果的な採用活動の計画に役立ててください。

秋採用で応募してくる学生の質は、春夏採用と比べて低いのでしょうか?

一概に低いとは断定できません。
留学や公務員試験、部活動など、やむを得ない理由で春夏の就職活動ができなかった優秀な学生が多く存在します。
重要なのは、固定観念を持たずに一人ひとりのポテンシャルを丁寧に見極めることであり、質が低いと判断するのは難しいです。

秋採用を成功させるために、春夏採用から変更すべき点は何ですか?

成功のコツは、「ターゲットを絞った広報」と「迅速な選考フロー」への変更です。
画一的な募集ではなく、求める人材像に特化したメッセージを発信し、ダイレクトリクルーティングなどを活用します。
また、選考スピードを上げて学生の熱意が冷めないうちに対応することが重要です。
26卒学生のインターンシップ参加状況については「26卒学生の約半数が10月以降もインターンシップに参加予定」で詳しく紹介しています。

知名度の低い中小企業でも、秋採用で成果を出すことは可能ですか?

成果を出すことは十分に可能です。
大手企業の採用活動が一段落するため、学生が中小企業に目を向ける機会が増えます
学生一人ひとりと向き合う丁寧なコミュニケーションや、企業の独自の魅力を伝えることで、大手にはない強みをアピールできます。

難しいと諦める必要はありません。

[参考]MARCH生の就職活動はどう変わったか?  25-27卒 3か年データで読み解く、MARCH生の就職活動の変化

まとめ


秋採用は、単なる内定辞退者の補充策ではなく、春・夏採用では出会えなかった多様な新卒人材を獲得できる戦略的な機会です。
成功のコツは、ターゲットを明確にしたアプローチと、スピード感のある選考プロセスを設計することにあります。

この記事で解説したメリットやポイントを踏まえ、各企業が自社の採用戦略に秋採用を組み込むことで、採用力の強化が期待できます。