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人的資本経営を採用で実践する――「社員を大切にする」を採用力に変える方法




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人的資本経営が重要視される昨今、単に「社員を大切にする」という姿勢を打ち出すだけでは不十分です。理念を掲げるだけでなく、それをどのように採用活動や入社後の活躍・定着につなげていくのか。企業の姿勢そのものが、採用力を左右する時代となりつつあります。

今回は、創業期から一貫して“人を中心に据えた経営”を実践してきた出光興産株式会社と日清食品ホールディングス株式会社をゲストに迎え、【WORKS REVIEW】を実施。
両社のキャリア採用の位置づけから具体的な施策、そして「自社らしさ」の伝え方まで、具体的な実践知をレビューします!




 INDEX 




キャリア採用に関する求職者調査


ワークス・ジャパンが30歳~49歳の転職活動中の求職者を対象に実施した「キャリア向け転職活動の意識調査」では、求職者の視点がかつてないほど多角化している実態が浮き彫りになりました。

転職先選びでは、「今よりも処遇が上がること」が前提条件となっている一方で、重視するポイントは「専門性の活用」「新しい挑戦」「働き方の柔軟性」など、特定の項目に偏ることなく多岐にわたっています。
特に、新卒時との比較では、「仕事内容の詳細」や「休日・残業時間」といった“実態としての働き方”をよりシビアに見極める傾向が強まっています。


また、現職を続けながらの転職活動という制約もあり、求職者の多くは、応募企業数を2〜5社程度に絞り込んでいます。本調査結果より、戦略的かつ効率的な活動を志向している様子がうかがえます。
企業にはスピード感ある選考と、短時間で納得感を提供する情報開示が求められているといえるでしょう。


面接で「聞けて良かった」と感じた項目は、働き方や制度が上位に挙がるものの、回答は全体に分散傾向にありました。短期間で意思決定を迫られる一方で、判断材料は慎重に集めたいという、ミドル層ならではの姿勢が見て取れます。
また、「会えて良かった」と感じる相手は、現場の一般社員のみならず、課長・マネージャークラス、さらには経営層まで広がっています。自身のキャリアの最終着地点を見据える世代だからこそ、組織の運営方針や将来性を直接対話で確認したいという意向が読み取れます。


調査結果の詳細を確認したい方は、下記記事をご覧ください。
≫ 「キャリア向け転職活動の意識調査」 




◆ WORKS REVIEW 実施内容


ワークス・ジャパンが実施した意識調査では、求職者のニーズが単なる処遇改善に留まらず、「専門性の発揮」や「新しい挑戦」「働き方の実態」など多角的な軸で検討されている実態が浮かび上がりました。
求職者のニーズが多角化し、働き方の実態や経営哲学がシビアに見極められる今、企業には透明性の高い情報発信を通じて「自社らしさ」を誠実に伝えることが求められています。加えて、入社後の活躍・定着までを一貫してデザインする「人を中心」とした採用戦略も必須になりつつあるといえるでしょう。

そこで今回は、「出光興産株式会社」「日清食品ホールディングス株式会社」のキャリア採用担当者をゲストに迎え、WORKS REVIEWを実施。
創業以来、一貫して掲げる「人が中心」の経営哲学を、いかにして現代のキャリア採用戦略へと昇華させているのか。事業変革期における母集団形成や、自社独自の「らしさ」を伝えるための情報発信、オンボーディング施策など、両社が推進している取り組みについてうかがいました。

※出演者情報はセミナー開催時点(2026年1月21日)のものです。



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出演者

樋田 理沙 氏

出光興産株式会社
人事部 採用教育課

樋田 理沙 氏

2008年にゼネコンに新卒入社。建築事業の営業企画、広報、開発部門を経て、人事部へ。
人事部では、キャリア・新卒・障がい者採用を4年半ほど担当。
その後、2024年5月に出光興産に入社し、人事部採用教育課にてキャリア採用を担当。
日本の持続可能なエネルギーの未来を拓くため、多様な人財の採用を推進している。
プライベートでは、小学生の姉妹の母。

森本 拓馬 氏

日清食品ホールディングス株式会社
人材開発部

森本 拓馬 氏

2014年、新卒で株式会社キャリアデザインセンター入社。
人材紹介事業にて法人営業、
マーケティング・新規サービスの立ち上げを経験後、
2022年に日清食品株式会社入社後、日清食品ホールディングス株式会社 人材開発部へ出向し、 営業・IT・管理部門のキャリア採用を担当。
現在はチームのリーダーとして、キャリア採用の戦略立案・採用計画にも従事。

創業時から続く社員に対しての向き合い方


出光興産<br>樋田 出光興産
樋田
出光興産では、1911年の創業以来、「資本は人なり」という考え方を経営の根幹に据え、人的資本経営という言葉が生まれる以前から、「世の役に立ち、尊重される人の育成こそが企業の目的であり、事業はそのための手段である」と考えてきました。

象徴的なのは、終戦直後のエピソードです。創業者・出光佐三は、事業も資産も失われた混乱の中で「出光興産には海外に残る800名の人材がいるではないか。これが唯一の資本であり、これが今後の事業をつくる」と宣言しました。
「人間尊重」の精神は現在の出光興産の人材戦略にも息づいており、経営層と社員の直接対話(タウンホールミーティング)や、キャリア自律を支援する専門部署の設立、DE&Iの深化など、理念を“体験”として浸透させる施策が展開されています。
日清食品HD<br>森本 日清食品HD
森本
日清食品は「企業在人 成業在天(企業は⼈である。⼈に対する評価が、そのまま企業の評価につながる。また成業とは、⼤衆の声が天に通じたときにはじめて⼤きな評価として返ってくる )
」という創業者の言葉を根幹に置き、人材を企業価値の源泉と捉える姿勢を一貫しています。新たな食文化を創造する「EARTH FOOD CREATOR」というグループ理念には、「生物の根本である食を創り、世の為につくす」という創業者の思いが込められています。

人的資本経営の取り組みとしては、ミッション・ビジョン・バリューの浸透、多様な人材の採用とオンボーディング、自律的なキャリア形成支援、人材育成(社内アカデミー)、DE&Iの5本柱を基盤としています。
特徴的なのは、仕事を「戯れ化(たわむれか)」し、クリエイティビティを最大化させる組織風土です。入社直後にはカップヌードルミュージアム 横浜で創業者の志を体感する研修を実施し、年2回の職場ミーティングで理念を議論するなど、価値観を自分事化するための仕掛けを徹底しています。
また、2024年3月には食品企業として世界初となる「ISO30414(人的資本情報開示の国際的ガイドライン)」の認証を取得するなど、人的資本に関する情報発信にも注力しています。

なぜキャリア採用に注力するのか?


出光興産<br>樋田 出光興産
樋田
出光興産では、新卒採用の規模を維持しながら、キャリア採用を並行して強化しています。その背景にあるのが、カーボンニュートラルや循環型社会への移行実現を目指す、事業ポートフォリオの転換です。
現在の事業は化石燃料が8〜9割を占めており、2050年の温室効果ガス排出実質ゼロに向けては、既存事業の延長線上だけでは立ち行かない局面にあります。そのため「変革をカタチに」という2050年ビジョンのもと、5つの事業セグメントを再編し、3つの事業領域へと進化させる構想を描いています。

しかし、事業ポートフォリオの転換には、新たな知見や経験が求められます。こうした変革を実行する“原動力”として、近年キャリア採用を強化しています。変化の多い環境下でもしなやかに対応し、未来を切り開ける組織を形成することが人材戦略の狙いです。
日清食品HD<br>森本 日清食品HD
森本
日清食品においては、事業構造の変化がキャリア採用強化の背景となっています。
国内と海外の売上構成比は一昔前と比較すると大きく変化し、現在はグローバル事業のさらなる拡大に向けた再構築のフェーズにあります。同時に、「完全メシ」をはじめとする新規事業の成長加速、既存事業の収益基盤強化も進めなければなりません。

グループシナジーの創出やDX推進による生産性向上など、複数の経営テーマを同時に実現するには、即戦力となる専門性を持つ人材の確保が不可欠です。こうした背景から、この10年ほどでキャリア採用を大幅に強化してきました。

どんな人を、どうやって採っているか?


出光興産<br>樋田 出光興産
樋田
出光興産では、事業転換に伴いキャリア採用数が急速に増加しています。直近3年間の採用数は倍増し、現在は年間100名を超えるキャリア人材を新たに迎え入れています。
募集職種は事務系・技術系を合わせて60を超え、コーポレート、事業企画、プラントエンジニア、設備保全、生産技術、研究開発、販売、デジタルなど多岐にわたります。特に事務系ポジションは、業界経験者に限らず、異業界からの採用も進み、女性の採用比率も向上しています。

採用成功の要因は、派手な施策ではなく、地道な基盤整備にあると考えています。
応募書類の電子化による負担軽減、各部門との連携強化によるターゲットの明確化、エージェントとの密な連携など、小さな改善を一つひとつ積み重ねてきました。また、キャリア登録制度(タレントプール)の導入や採用サイトへの求人掲載拡充などの取り組みが実を結び、直接応募の比率も徐々に高まっています。
日清食品HD<br>森本 日清食品HD
森本
日清食品では事業成長に伴い、2021年度から2024年度にかけて、キャリア採用数が約2倍に伸長しました。採用対象は営業、マーケティング、研究開発、生産、管理の5領域。各部門それぞれにリクルーターを配置しています。

現在も採用の約8割はエージェント経由ですが、3年前と比べるとその比率は低下しています。エージェントには母集団形成の面で大きく支えられている一方で、「なぜ日清食品で働くのか」という想いをより直接的に届け、数ある食品メーカーの中から当社を志望する方と出会うためには、広報や接点づくりにつながるダイレクトチャネルの強化が欠かせないと考えています。

「らしさ」をどう伝え、入社後の活躍につなげるか/今後の課題とチャレンジ


出光興産<br>樋田 出光興産
樋田
出光興産の「らしさ」は、理念である「真に働く」、経営原点である「人間尊重」、そして新たに制定した行動指針に集約されています。
この「らしさ」を伝えるには、潜在層向けのウェビナーで直近の入社者が登壇してリアルを語り、選考では「相互理解の場」として当社の行動指針とのマッチ度を対話を通じて丁寧に確認します。また、入社後も毎月のオンライン入社式や2年目の座談会を通じ、孤立させないオンボーディングを徹底しています。

今後は、「スキル×理念フィット」を満たす人材の母集団形成の実現と、入社後の受け入れ・成長支援の強化を目指します。キャリア採用でもタレントプールや採用ブランディングを進化させながら人が中心の経営を体現していきたいと考えています。
日清食品HD<br>森本 日清食品HD
森本
日清食品では、採用選考自体が「らしさ」を伝える設計になっています。一次面接には人事が同席し、スキルだけでなくバリューへの共感を確認します。さらに、最終面接の前に給与や将来の処遇見通し、制度などの情報を具体的にお伝えする「オファー面談」を実施し、納得感を持った意思決定をサポートします。

今後は、採用ホームページの集客最大化からタレントプール構築へとつなげ、日清食品のファンづくりを強化していきたいと考えています。また、外部の知見を得たメンバーが成長して戻ってこられるよう、アルムナイ採用が推進される環境も整備していきたいですね。
このように、食品業界に限らず業界の枠を超え、「新たな食の創造」に共感する仲間を広く迎え入れたいと考えています。

◆ 創業時から人的資本経営を実践する出光・日清食品のキャリア採用事例 詳しくはアーカイブ配信で!